死後では遅い!手遅れにならないための【名義変更】 [相続8]

名義変更手続の画像

預貯金、株券、生命保険、自動車名義などなど……

実は、亡くなってからでは名義が変更できない財産もあります。
故人の名義のままでは売却はもちろん、処分することさえできない財産も。

今回は、一つ一つ名義を変更する方法を解説していきます。

株券の売却にも名義変更が必要

株券の画像

亡くなった人名義の株券を売却する場合には、一度名義変更を行う必要があります。

いくら親族だからといっても、自分名義のものでないと売ることができないのです。

〈まずは遺産分割協議〉

株券の名義を変更するためには、預貯金と同じような手続きが必要になります。

つまり、遺産分割協議をして、いくらの株券を誰が相続するのかを決定しなければいけません。

〈故人が持っていた全ての株券を把握する方法〉

「故人がどれだけの株券を持っていたか分からない……」というのはよくある話。

そんな時は、「証券管理振替機構(ほふり)」に電話して、調べることができます。
証券管理振替機構(ほふり)の電話番号→03-3661-0161

〈ほふりに郵送する書類〉

以下の書類を提出することで、どの口座に株を持っているかを教えてくれます。
 ・本人確認書類のコピー
 ・相続する人の住民票
 ・相続する人の印鑑証明
 ・相続する人の戸籍謄本
 ・亡くなった人の除籍謄本

〈証券会社の口座を作る〉

株式の相続は預貯金の相続とは違って、同一の証券会社の口座間でしか移管することができませ
ん。
故人と同じ証券会社の口座を持っていない場合には、まず、口座の開設をする必要があります。

〈株券の名義変更の手続き方法〉

証券会社に連絡すると、「相続手続依頼書」をもらうことができます。
これを、以下の書類と一緒に提出すればOK。

 ・故人の出生から死亡までの戸除籍謄本
 ・相続人全員の戸籍謄本※
 ・相続人全員の印鑑証明※
 ・遺産分割協議書※

*遺言書がある場合には、※の書類は不要となります。
 代わりに、遺言書のコピー、相続する人の戸籍謄本と印鑑証明を添付しましょう。

手続きは郵送でも可能で、約1週間程度で完了します。

生命保険は生前の名義変更で1000万円以上の節税に

相続の申告で困る人の画像

死後には名義変更できない財産、それが生命保険です。

基本的に、名義の変更を行えるのは、契約者と被保険者の生前のみ。
残される家族により多くのお金を残したいのなら、生命保険の名義変更は、必ず生前に行っておくようにしましょう。

〈生命保険には税金がかかる〉

生命保険にも税金がかかるというのはご存知でしょうか?
・契約者(保険料を払っている人)
・被保険者
・受取人
の名義次第で、払わなければならない税金の種類や金額が異なります。

〈契約者・被保険者・受取人の関係で変わる税金〉

①相続税

「被保険者=契約者」の場合

相続税の表

夫が自分の万が一に備えて契約した場合などの「被保険者も契約者も夫で、受取人が妻(または子など)」という契約形態の場合には、「相続税」の対象となります。

受取人が法定相続人の場合には、「500万円×法定相続人」の金額が非課税となるため、税負担が少なく抑えられます。

②所得税

「契約者=受取人」の場合

所得税の表

妻が、夫の万が一に備えて契約した場合などの「契約者と保険金受取人が同じで、被保険者が別の人」という契約形態の場合には、「所得税」の対象となります。

分かりやすく言うと、保険料を支払った本人がお金を受け取るということ。

この場合、「所得税」となり、支払った保険料を差し引いて税金を計算することができます。

③贈与税

「契約者/被保険者/受取人」がそれぞれ異なる場合

贈与税の表

妻が夫の万が一に備えて契約し、受取人を子にしている場合などの「契約者・被保険者・受取人が全て別々」という契約形態の場合には、「贈与税」の対象となります。

被保険者(この場合夫)が死亡した際に、契約者(妻)から受取人(子)に贈与が発生したとみなされるというわけです。

贈与税の基礎控除額は110万円しかない上に、税率も相続税に比べてかなり高くなるため、3つのケースで最も課税対象額が高くなってしまいます。

このパターンに当てはまる場合には、生前に名義変更をしておくようにしましょう。

以下の3つのケースを参考にしてみてください。

〈名義を変更したい3つのケース〉

特に生命保険の名義を変更しておきたい3つのケースについて解説していきます。
※生命保険金が3000万円の場合を想定

・「贈与税」→「相続税」にして節税

「契約者・被保険者・受取人が全て別々」→「契約者=被保険者」に

贈与税を相続税する場合の画像

「契約者・被保険者・受取人が全て別々」の場合、「贈与税」の対象となってしまい、税金が非常に多額になってしまいます。

上の図のように「被保険者=契約者」になるように名義変更することで、相続税の対象となり、1300.5万円もの節税になるのです。

・「贈与税」→「所得税」にして節税

「契約者・被保険者・受取人が全て別々」→「契約者=受取人」に

贈与税を所得税にする場合の画像

こちらの例も「契約者・被保険者・受取人が全て別々」のままだと、「贈与税」の対象となり、税額が高額になってしまいます。

「契約者=受取人」になるように名義変更することで、「所得税」の対象となり1287.75万円もの節税に。

・「相続税」自体を節税

「受取人が法定相続人以外」→「受取人を法定相続人」に

相続税のまま節税する場合の画像

上記の図のように、受取人を孫などの法定相続人にしている場合には、「500万円×法定相続人」の控除が適応されず、相続税がかかってしまいます。

受取人を子に変更することで、非課税枠が適用され、480万円の節税になるのです。

自動車の名義変更

自動車の画像

遺族が、亡くなった人の車に乗るか乗らないかに関わらず、故人の所有していた自動車の名義変更の手続きが必要になります。

車の名義変更も、遺産分割協議後にしか行うことができないので、注意しましょう。

〈自動車の名義変更に必要な書類〉

 ・遺産分割協議書
 ・相続人全員の戸籍謄本
 ・故人の死亡が分かる戸除籍謄本
 ・相続する人の印鑑証明
 ・自動車検査証(車検証)
 ・自動車税自動車取得税申告書
 ・車庫証明書

手続きに必要な書類がかなり多くなるため、注意が必要です。

〈手続きを行う場所〉

車の名義変更の手続きは、車を相続する人が住んでいる地域を管轄する「運輸支局」または、「自動車検査登録事務所」で行うことができます。

軽自動車の名義変更

自動車の画像2

軽自動車の場合には、手続きが少しだけ簡単になります。

〈軽自動車の名義変更に必要な書類〉

 ・新所有者の住民票
 ・自動車検査証(車検証)
 ・自動車検査証記入申請書
 ・認印

※遺産分割協議書は不要となります。

〈手続きを行う場所〉

軽自動車の場合には、「運輸支局」ではなく、「軽自動車検査協会」で手続きを行います。

クレジットカードのポイントは生前にマイルに変換で相続可能!

ポイントをマイルに変換する画像

クレジットカードのポイントは、基本的に、所有者の死亡とともに失効してしまいます。
しかし、ANAやJALのマイルは相続可能!

生前に、クレジットカードのポイントをマイルに変換しておくことで、相続が可能となるのです。

〈マイルの相続期限〉

マイルの相続期限は以下の通り。
ANA→死後6ヶ月
JAL→死後3ヶ月

あまり期間が長く設けられていないので、注意が必要です。

ゴルフ場の会員権も名義変更が必要

ゴルフ会員権の画像

ゴルフ場に連絡すると、「名義書換申請書」をもらうことができます。

以下の書類と合わせて申請しましょう。
 ・権利証
 ・相続関係の分かる書類(戸籍謄本など)
 ・相続人全員の印鑑証明書
 ・遺産分割協議書

その他の様々な故人名義の契約を解除する順番

故人名義の契約の画像

財産だけでなく、故人名義の様々な契約も、相続人が解除しなければなりません。

以下が理想的な契約解除の順番になります。

①クレジットカード

②カードで支払っていた契約
 ・NHK受信料
 ・新聞の契約
 ・通販などの定期購入品

③生活インフラ
 ・固定電話
 ・携帯電話
 ・インターネット

④ライフライン
 ・水道
 ・電気
 ・ガス

基本的に、カード類を止めるのが先決。
ライフラインは、遺品整理を待ってから最後に解約するようにしましょう。

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