「法定相続情報証明制度」をご存知ですか?
家族が亡くなった後に、役所に通う時間とお金を省くことができる、とても便利な制度です。
死後の手続きで大量に必要となる、戸籍謄本。
手続きの基本書類であるために、色々な場面で必要となります。
しかし、戸籍謄本が必要になるたびに役所に何度も通うのは大変です。
また、郵送してもらうのにも、1週間程度時間が必要。
そんなときに「法定相続情報証明制度」を利用することで、お金も時間も無駄にすることなく手続きを行うことができます。
今回は、その方法を解説していきますので、ぜひご参考にしてみてください。
戸籍謄本を集めるのは結構大変
家族が亡くなった後の銀行手続きなどの際に戸籍謄本を提出すると、その手続きが完了するまで、返却してもらうことができません。
そのため、他の手続きができないということに……
戸籍謄本を取得するには、役所が開いている平日に行かなければならないということもあり、お仕事をされている方にとっては結構な負担になってしまいます。
法定相続情報証明制度とは?
法定相続情報証明制度とは、故人と相続人の戸籍謄本や住民票をまとめて「法定相続情報一覧図」という1枚の書類にできる制度のこと。
この制度を利用すると、各相続人が戸籍謄本を1枚ずつ取得すれば大丈夫。
しかも、法定相続情報一覧図は無料で作成することができます。
戸籍謄本を取得するには1枚450円程度かかるので、その分のお金を節約できるのです。
法定相続情報証明制度が利用できる手続き
現在、法定相続情報証明制度を利用できる手続きは以下の通りです。
・預貯金の相続手続き【金融機関】
・有価証券の相続手続き【証券会社】
・不動産の相続手続き【法務局】
・生命保険、損害保険の手続き【保険会社】
・自動車の相続手続き【運輸支局など】
・相続税の申告【税務署】
※年金事務所で行う年金関連の手続きには利用できないので注意しましょう。
法定相続情報一覧図はどうやって作る?
法定相続情報一覧図は自分で作成します。
手書きでもパソコンを使って作成してもどちらでも大丈夫です。
〈必要な書類〉
法定相続情報一覧図の作成に必要な書類は以下の5つ。
①故人の出生から死亡までの戸除籍謄本1セット
②故人の住民票の除票
③相続人全員の戸籍謄本
④相続人全員の住民票の写し
⑤相続人のうち、代表者の氏名・住所を確認できる書類(マイナンバーカードや免許証)
①に関しては、まずは故人の最後の戸籍をとり、そこから順に遡っていって、出生までの全ての戸籍を揃えます。
例えば、相続人の誰も知らない子どもがいるというケースもありますので、その子が相続の手続きから漏れてしまうということのないように、出生まで全ての戸籍を遡って確認する必要があるのです。
①と②は、故人が生まれてから亡くなるまでに暮らした場所の役所に連絡して郵送してもらうこともできます。
③は、相続人それぞれの本籍地のある役所で取得することになります。
マイナンバーカードがあれば、近くのコンビニで発行することも可能です。
〈法定相続情報一覧図の作り方〉
※ ① 用紙
用紙はA4を使用します。
手書きの場合には、黒色のボールペンで記載しましょう。
※ ② 住所
各相続人の住所の記載は任意となりますが、住所を記入しておくことで、住民票の代わりとして
も使用することができます。
記載する場合は、住民票の写しにある通りに記載するとともに、取得した住民票も併せて提出す
る必要があります。
※ ③ 申出人
申出人となる相続人には、「(申出人)」と記載します。
※ ④ 余白
法務局が認証文を添付するため、下部5cm程度は空白にしておきましょう。
・フォーマットのダウンロードが可能
↓こちらの法務局のホームページからフォーマットをダウンロードすることができます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
作った法定相続情報一覧図を利用するための手続き
〈「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」を作成する〉
※ ① 代理人
申出書を提出する代理人になれるのは、6等身以内の親族(法定代理人)、または弁護士、司法書士、税理士、行政書士など(委任による代理人)です。
※ ② 利用目的
利用する手続きによって記入(複数選択可)します。
その他の欄に記入する場合には、単に「相続手続き」とせず、「株式の相続手続き」など、具体的に書くようにします。
※ ③ 不動産の有無
故人が不動産を所有していた場合には、その不動産の所在地(地番)を記載します。
複数書風していた場合には、そのうち一つを記載しておけば大丈夫です。
〈申請に必要なもの〉
法務局への申請に必要なものは全部で7つ。
①自分で作った「法定相続情報一覧図」
②「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」
以上の2つと、法定相続情報一覧図で必要な書類としてあげていた以下の5つ。
①故人の出生から死亡までの戸除籍謄本1セット
②故人の住民票の除票
③相続人全員の戸籍謄本
④相続人全員の住民票の写し
⑤相続人のうち、代表者の氏名・住所を確認できる書類(マイナンバーカードや免許証)
〈申請できる場所〉
申し出を行うことができるのは、以下に挙げた住所を管轄する登記所(法務局や法務局の出張所)になります。
・故人の死亡時の本籍地
・故人の最後の住所地
・申出人の住所地
・故人名義の不動産の所在地
法務局のホームページから検索して、一番行きやすいところに申し出に行きましょう。
受け付けをしてもらうのは、登記所内の不動産部門の窓口。
提出から7~10日ほどで受け渡しとなります。
受け渡しの際には、本人確認のための認印が必要となるので、持参しましょう。
時間がある場合には、郵送で手続きを行うことも可能。
この場合、窓口よりも2~3日、時間がかかるので注意が必要です。
法定相続情報一覧図が足りなくなったら?
法務局には、申請後、5年間法定相続情報一覧図の原本が保管されます。
その間であれば、何度でも無料で「写し」の再交付を受けることができます。
〈再交付の申請方法〉
「再交付申出書」を法務局のホームページからダウンロードして、免許証のコピーと併せて提出します。
郵送でも、申請が可能です。
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大和田税理士事務所では、相続税に関するご相談を受け付けております。
「相続財産への課税が心配」「調べてみてもよく分からない」「身内に頼れる人がいない……」などお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。