故人の死亡後、仮払いの受け方・銀行預金口座の凍結を解除する方法とは? [相続1]

相続と銀行口座

大切な人を亡くした後のご遺族の悲しみは、計り知れないものです。
本来なら、時間をかけて気持ちを落ち着けてから、ゆっくり手続きを行いたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、人が亡くなってからの手続きには実に様々なものがあり、中には期限があるものも。
手続きをしなかったり、手続きが遅れたりすることによって、相続人の方たちが大きな不利益を被ることになってしまう場合もあるのです。

今回は、身近な人を失った後に誰もが直面する、銀行の手続きについて解説していきます。

故人の死後、銀行口座は凍結される

人が亡くなると、その人の銀行口座が使えなくなるということを聞いたことがある方も多いかもしれません。
まずは、銀行口座の凍結についてお伝えしていきます。

〈なぜ故人の銀行口座を凍結するの?〉

銀行口座凍結

簡潔には、銀行が相続に関わるトラブルに巻き込まれるのを防ぐため。
銀行が故人の口座を凍結しなかった場合、相続の話がまとまる前に、相続人の誰かが勝手にお金を下ろしてしまうなどのトラブルが起きることも。
その際に、銀行側が責任を問われる可能性も十分考えられます。
こういったトラブルを避けるために、相続内容(=遺産分割協議の内容)が決定するまでは、故人の口座を凍結させるのです。
同時に、相続人の共有財産を守り、遺族間での相続トラブルを避けることにも繋がっています。

〈死亡届を出しても銀行口座は凍結されない〉

死亡届を出すと、亡くなった人の銀行口座が凍結されてしまうのでは?と心配している方もいらっ
しゃるのではないでしょうか。
しかし、死亡届を提出しても、役所から金融機関に連絡されることはなく、預金口座を凍結され
ることはありません。

〈死亡届とは〉

死亡届

死亡届とは、正式には『死亡届書』と呼ばれ、記載されている人が死亡したことを証明するもの。
死亡届と合わせて『死体火・埋葬許可申請』をすることで、『埋(火)葬許可証』が発行され、故人の遺体を火葬・埋葬することができるようになります。
死亡届は、故人の死後7日以内に提出する必要があり、提出が遅れた場合には、戸籍法によって5万円以下の過料を徴収されるので注意が必要です。
(国外で死亡した場合には、その事実を知った日から3ヶ月以内に提出)

〈銀行口座が凍結されるとき〉

金融機関は、故人の親族からの連絡や、新聞などのお悔やみ欄の掲載などで死亡を把握します。
その後、銀行口座を凍結するのです。

〈口座が凍結される前に故人の口座からお金を引き落としても良い?〉

故人の口座

口座名義人が死亡しても、金融機関が死亡を把握しなければ、口座は凍結されません。
キャッシュカードや通帳を持っていて、暗証番号が分かっていれば、口座からお金を引き落とすことができてしまいます。
故人の預金口座は、遺産分割協議の対象になるので、勝手にお金を引き落として使うことは本来許されません。
この場合には、2つの問題が考えられます。

・相続人との間でのトラブル

まず、他の相続人との間でトラブルになる可能性があることです。
お金を下ろす際には、必ず相続人の同意を取るようにしましょう。

・相続を単純承認したことになる

葬儀費用などの、遺産から支出しても構わないものだけのためにお金を下ろすのであれば良いのですが、下ろしたお金を自分のために使ってしまった場合、相続を単純承認したということになってしまうのです。

単純承認とは、相続人が被相続人(故人)の人権や義務を無限に継承すること。簡単に言えば、プラスの財産だけでなく、借金などの負の財産も一緒に相続するということなのです。

一度相続を単純承認してしまうと、後日相続権を放棄しようと思っても、放棄することができません。
葬儀の費用などに使った場合には、自分のために使ったのではないことを証明するために、必ず領収書をとっておくのを忘れずに。

※注意

口座が凍結される前にお金を引き落とすというのは、本来であれば認められていない行為です。
以下で解説する仮払いや相続手続きの手順をしっかりと踏むようにしましょう。

口座凍結後でも仮払いを受けることができる

口座凍結後の仮払い

相続人が複数人いて、なおかつ遺言書がない場合、遺産分割協議が成立するまでは口座の凍結を解除することはできません。

しかし、葬儀やお墓に関するお金はすぐに必要です。
2019年の民法改正で、故人の銀行口座から仮払いを受けることができるようになりました。
※法改正される前の2019年6月30日以前に発生した相続でも申請が可能。
 仮払いを受けた分は、相続分割の際に相続分から差し引かれます。

〈仮払いを受けられる上限金額〉

仮払いの上限は、一つの金融機関につき、
『相続開始時の預貯金残高 × 1/3 × 仮払いを受ける相続人の法定相続分』となります。
※ただし、上限は150万円まで。

例えば、銀行Aに900万円、銀行Bに600万円預金があり、仮払いを受ける相続人の法定相続分が1/2だった場合。
銀行Aからは「900万円×1/3×1/2=150万円」、銀行Bからは「600万円×1/3×1/2=100万円」の仮払いを受けることができます。

〈法定相続分とは?〉

法定相続分とは、民放で定められている遺産の分け方の目安のこと。
それぞれの法定相続人(遺産を相続する権利がある人)が相続する割合のことです。

以下に一般的なパターンをまとめましたので参考にしてみてください。

法定相続分

〈誰が手続きをする?〉

相続人のうち、誰か一人が手続きを行えば仮払いを受けることができます。

〈仮払いを受けるのに必要な書類〉

仮払いを受けるのに必要な書類は、以下の3つです。
 ・被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本
 ・相続人全員の戸籍謄本
 ・引き出す人の実印
 ※故人の通帳や、暗証番号などは不要となります。

〈必ず領収書をとっておく〉

仮払いを受けた現金は、使い込みを疑われないよう、使途が分かるように領収書をとっておきましょう。

遺産分割の前にしなければいけない手続き

遺産分割の前の手続き

葬儀や納骨を終えた後、遺産分割に入る前にしなくてはいけないことについて解説していきます。

〈遺産の総額を確定するために〉

故人の遺産の総額を確定するために、まずは通帳を探して口座を把握しましょう。
もし通帳が見つからない場合には、全店照会という方法で口座の確認を行うことができます。

〈全店照会とは?〉

全店照会とは、同一銀行に複数の口座を持っていないか、窓口で確認する手続き。
銀行窓口で、「全店照会したい」という旨を相談するだけなのでとても簡単です。

〈残高証明書を発行してもらう〉

残高証明書とは、遺産額の証明になるもので、相続税を申告する際に必要になるのもの。

残高証明書を発行しておくことで、遺産分割時のトラブルを防ぐこともできます。

残高証明書の発行に必要な書類は、以下の3つです。

 ・被相続人(故人)が死亡したことが分かる戸除籍謄本
 ・窓口を訪れた人の戸籍謄本
 ・窓口を訪れた人の実印と印鑑証明(6ヶ月以内)
 ※他の相続人の戸籍謄本や実印、印鑑証明などは不要。

申し込みから1週間程度で郵送されます。

預金口座の凍結を解除するには?

口座の凍結解除

遺産の配分が決まり、遺産分割協議書の準備ができたら、預金口座凍結解除の手続きが行えるようになります。

〈口座の凍結解除に必要な書類〉

口座の凍結解除に必要な書類は以下の通りです。
 ・遺産分割協議書
 ・相続人全員の印鑑証明
 ・相続人全員の戸籍謄本
 ・故人の出生から死亡までの戸除籍藤本
 ・相続届
 ※故人の通帳や暗証番号、印鑑などは不要となります。

〈相続届とは?〉

銀行ごとに異なる専用の書類。
銀行の窓口でも、郵送でも、もらうことができます。

相続届で、預貯金の名義を変更するか、自分の口座にお金を移すのか選ぶことができるのです。
※通帳が見つからない場合にも、「紛失」のところに印をつければ手続きが可能。

〈書類を提出する場所〉

口座名義の支店でなくても、近くの支店で手続きを行うことができます。

ただし、原則的に書類の提出は郵送はできず、相続人の一人が窓口まで行かなければいけないので注意が必要です。

〈凍結が解除されるまでの期間〉

口座の名義変更の手続き後、1週間程度で凍結は解除されます。

遺言書がある場合の預貯金相続

遺言書

遺言書がある場合には、遺産分割協議が不要になります。
そのため、預貯金口座の凍結解除の流れが異なるのです。

〈口座の凍結解除に必要な書類〉

一般的に、必要書類は以下の通りになります。
 ・遺言書
 ・検認調書または、検認済証明書(公正証書遺言書の場合)
 ・故人の死亡が確認できる戸除籍謄本
 ・預貯金を相続する人の戸籍謄本(発行から6ヶ月以内)
 ・預貯金を相続する人の実印と、印鑑証明
 ※相続人全員の戸籍謄本、実印を集める必要がなくなります。
(ただし、遺言書の内容によっては、相続人全員の戸籍謄本、実印が必要になることもあるので注意が必要です。)

〈検認調書・検認済証明書とは?〉

遺言書には、
 ・自筆で作成されるもの(=自筆証明遺言)
 ・公正役場で作成されるもの
の2つの種類があります。

・自筆で作成されたもの

遺言書が自筆であった場合には、そのままでは相続手続きに使うことができません。

遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」を受ける必要があります。

検認とは、相続人に対して遺言の存在および内容を知らせるとともに、遺言書の形状や日時、署名など、遺言書の状態を明確にし、偽装や変造を防ぐための手続きです。

この検認の証明として家庭裁判所が発行する書類が、「検認調書」または「検認済証明書」になります。

遺言書は、開封する前に家庭裁判所への提出が必要です。
もし封印していない場合や、謝って開けてしまった場合にも、必ず家庭裁判所での検認を受けましょう。

・公正役場で作成されたもの

公正役場で作成された、公正証書の場合、検認の必要がありません。
そのため、スムーズに手続きを進めることができます。

〈遺言書を作成しておくと遺族の負担を減らすことができる〉

遺言書

遺言書があると、遺産分割協議による時間や手間を省くことができます。
遺族はスムーズに預貯金を下ろすことが可能となるのです。

大切な人がなくなれば、ただでさえ家族は混乱します。
家族のことを思うのであれば、遺言書を作成しておきたいものです。

貸金庫の手続きも忘れずに

貸し金庫

銀行口座と合わせて、故人の貸金庫の有無についても確認しておくことを忘れずに。
貸金庫を持っていた場合の手続き方法を解説していきます。

〈貸金庫とは?〉

貸金庫とは、銀行などに備え付けられている金庫(保管箱)を貸し出しするサービスのこと。
貸金庫は、防犯・耐火・耐震性を備えていて、カード式、手動式、全自動など様々なタイプのものがあります。

貸金庫の中には、大切なものを保管することができます。

〈貸金庫の手続きの方法〉

故人の貸金庫を開ける時には、預貯金口座の凍結解除の時と同じい手続きをする必要があります。

貸金庫の有無は、銀行の窓口で確認することができるので、口座と合わせて確認しておきましょう。

〈鍵が見つからない時は〉

もし、貸金庫の鍵が見つからないという場合でも、紛失届を出すことで手続きが可能となります。

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